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Channel: 皇帝のいない三月
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「悪魔の手毬唄」1977

またしても市川崑です。1960年代に既に日本映画の巨匠となっていた市川監督が、70年代半ばから急に大衆娯楽ミステリーを手がけます。しかも原作は横溝正史の金田一耕助もの。当時は松本清張に代表されるリアル社会派推理が映画原作としても主流で、江戸川乱歩や横溝のように閉じた物語世界内の耽美や恐怖を味わう娯楽ミステリーは時代遅れと思われていました。そこに目覚しい成果を挙げてくれたのが、この「金田一シリーズ」。...

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「ダウト〜あるカトリック学校で〜」2008

メリル・ストリープとフィリップ・シーモア・ホフマンが真っ向勝負した演技合戦。舞台劇の映画化として圧倒的な見応え。戯曲を書き舞台を演出したジョン・パトリック・シャンリィ自らが脚色・監督しただけあって、シナリオの狙いを完璧に映像化しています。前述の二人の看板役者は期待通りだし、エイミー・アダムスとヴィオラ・デイヴィス(彼女の演技は特筆もの!)の存在感もまた見事。完成度の高さとその見応えという点で、この映...

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「幸福」1981

またまた市川崑です。1981年に制作された「幸福」。エド・マクべイン87分署シリーズ「クレアが死んでいる」を原作に、当時人気絶頂の水谷豊を起用して描いた刑事もの。小さな傑作。刑事ものながら、市井に生きる等身大の人間ドラマの構え。水谷演ずる村上刑事も妻に家出され小さな子ども二人を安アパートで育てながら捜査に加わる“大人のリアリズム”でした。各種権利関係の問題でビデオ化されずに30年近くが過ぎていた幻の...

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「曽根崎心中」1978

「この世の名残、夜も名残、死にに行く身をたとふれば、あだしが原の道の霜、一足づつに消えて行く、夢の夢こそあはれなれ。あれ数ふれば暁の、七つの時が六つ鳴りて、残る一つが今生の、鐘の響きの聞き納め、寂滅為楽と響くなりー」近松門左衛門の傑作浄瑠璃をできるだけそのまま実写化しようと試みた映画。増村保造と白石依志夫の脚色、お初・徳兵衛を梶芽衣子・宇崎竜童。宇崎は音楽も担当。監督は意志を持って生きようともがく人...

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「スペル」2009

私は元来ホラー映画を鑑賞しない。スプラッターなどもってのほかで、怖い映画は避けまくっている。これはもう生理的な反応なので致し方がない。もっとも、残虐描写が少ないショッカーであれば大丈夫なので、ジョン・カーペンターの「ハロウィン」1978が私にとっての水準器になっている。あのレベルまではOK。しかしCG全盛になってどんな人体破壊描写も自由自在になってしまってはもうお手上げ。だから最近は殆ど怖い映画は無...

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いつかは来ると思っていた、その日は何気なくやってきて過ぎていく

森繁久彌氏がこの世を去りました。親しみを込めて「モリシゲ」と呼び捨てにさせてもらう。面識などなかったけれど、森繁サンにオヤジ的な親近感を抱いて育ったお尻の世代に位置する私には切ない昨日でした。今年8月に、私にとって爺ちゃん的存在だった松林宗恵監督も逝去されました。かの「社長シリーズ」で監督と永遠のタッグを組んだ森繁社長も去り、お二人で改めて次回作の案を練られるのだろうなと、微笑ましくお見送りするくら...

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「ウルトラマンメビウス」2006〜2007

06年から1年間にわたり放映された全50話を通しで観てみる。作品単体としてはいろいろ弱点や物足りなさがあるのは致し方ないですが、“ウルトラマンシリーズ誕生40周年記念作品”の看板に偽りはない。40年前に小さなTV映像にかじり付いていた少年たちが、当時の創作者たちへのストレートな敬意を胸に、丁寧に作り込んだ愛情あふれる作品でした。今更ながら感心します。ウルトラマンというコンテンツは本当に息が長い。19...

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「HOUSE」1977

今日様々な分野で閉塞感と衰退が語られますが、とっくの昔に日本映画はその気分を潜り抜けて来ました。1950年代後半の黄金期を過ぎた日本映画興行は、TV放送本格化とレジャー多様化の中で急速に衰退。栄華を誇った大手映画会社の撮影所システム、スター・システムは崩壊し、斜陽化した1970年代。ビジネスモデルを転換しながら興行価値を維持したハリウッド映画に比して、日本映画の世界は明らかに衰弱していました。その沈...

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「東のエデン」2009

劇場版は未見なので、ここではTV放映分全11話についてのみ言及しています。商業映像コンテンツは往々にして見事に時代の気分を内包するもので、プロダクションIGで神山健治が作り出した本作はまさに該当する作品でした。羽海野チカのキャラ原案や、謎めいた設定を最後まで明らかにしないで引っ張っていく話術がこそ目立ちますが、神山監督が込めた硬質な社会性こそが本作の肝だと思います。同時代を撃ち抜くようなエッジの効い...

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「怪獣大戦争」1965

私が劇場で観たおそらく3本目の映画がこれ。実際には最初の公開から何年か経って“東宝チャンピオンまつり”のために短縮編集された「怪獣大戦争・キングギドラ対ゴジラ」を観ています。怪獣映画としての質はそう高くない作品です。「三大怪獣・地球最大の決戦」と「地球防衛軍」を足して2で割った安直な企画であることは確か。円谷英二が腕を揮った作品のわりに怪獣の暴れる場面がグダグダ。作れば当たる“怪獣ブーム”は経済成長...

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「北国の帝王」1973

“男性的映画の巨匠”ロバート・アルドリッチの沢山の代表作のひとつ。長いこと“未だ観ぬ名作”として焦がれていました。リー・マービンとアーネスト・ボーグナインの二人主演。キャストだけで最高濃度。硬派この上ない映画として評判通りのアクションでした。不思議な映画です。本当にシンプルな筋立て。大抵の映画紹介に記されている要約は概ね以下の通り。大恐慌の不況が全米を覆った大失業時代。失業者たちは移動手段として無賃...

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「アバター」2009

“筋立てが新しい訳ではない”といったコメントを多く見かけますが、そんなことは本作の本質ではありません。商業映画として観客がきちんと楽しみ感動を体験して劇場を後にするための定石というものは必要で、それをどれだけ新しい表現としてクリエイトするかという挑戦です。それに本気で挑み、本当に成功させた男たちの仕事を素直に讃えれば良いと思います。彼らは“新しい革袋”を普及させることで、新しい地平を拓いたのです。そ...

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「火の魚」2009

とっくに絶望してたTVドラマですが、時に鮮やかな光を放つ作品に出会うことがあります。ここ1年ほどに観た劇映画を含む国産の映像劇で、私には最良の作品でした。映画とTVドラマの差異は、もはや映像技術ではなく興行形態の違いしかないと思っています。このNHK広島制作53分の単発ドラマは、中篇映画としてシネコンにかけても十分な質感です。芸術祭大賞も当然の出来栄え。原作・シナリオ・キャスト・美術・音楽・演出、す...

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「七人の侍」1954

10代の頃、井上ひさし氏の作品はよく読みました。大人になってからは氏の主張のすべてを支持するという訳にはいかなくなりましたが、それでもエンタメとして文学として、常に高いレベルの描写を生み出し続ける力量とエネルギーには圧倒されてきました。例えば1981年に日本SF大賞を受賞した「吉里吉里人」の面白さはどうだろう。思想性の高さを面白さの話術と抱腹絶倒のギャグで紡いだ大長編。東北の寒村が独特の技術立国(医...

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「小暮写真館」2010

2ヵ月も更新をサボってしまいました。忙しかったこともありますが、書きたくなるネタに意外と出会わず、ちょっと不思議なブランクでした。さて、久し振りに読んだ宮部みゆきの新刊。「小暮写真館」。小暮写眞館 (書き下ろし100冊)作者:宮部みゆき出版社/メーカー:講談社発売日: 2010/05/14メディア:単行本購入: 6人 クリック: 252回この商品を含むブログ (138件)...

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「2001年宇宙の旅」1968

BDプレーヤーとしてPS3を利用しています。これがなかなか良い画質。レコーダー機能は不要と割り切って使ってみると、ゲーム機のユーザビリティは明らかに家電メーカーの思想と異なります。こういう微妙な実感差異って、今起きつつある変化を認識する上で結構大事だと思います。と、いうことで久々にBDで再見した本作。40年以上経過しながらここまで陳腐化しないビジュアルセンスとクオリティ。畏れ入ってしまいます。BDの...

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「暗闇仕留人」1974 「必殺必中仕事屋稼業」1975

講談社から発売されている必殺DVDマガジン。レンタルに出てきづらい初期の必殺シリーズからキャラクターごとに2エピソードずつ抽出して廉価で販売。そうそうDVD-BOXなど買えませんのでこれは助かりました。お蔭で久し振りに再会できました。若き石坂浩二演ずる“糸井貢”と、演者として旬の時期にあった緒形拳演ずる“知らぬ顔の半兵衛”に、です。必殺DVDマガジン 仕事人ファイル7 糸井貢 (T☆1...

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「氷雪の門 樺太1945年夏」1974

終戦の年、8月15日を過ぎたにも関わらず樺太で起きた最後の地上戦。ポツダム宣言を受諾し無条件降伏をした日本ですが、8月23日頃まで他国の軍隊に領土を蹂躙され一般市民の殺戮が行われていた事実を、多くの日本人が知りません。本作は、樺太の悲劇の中でも比較的有名なエピソードである、真岡郵便局の9人の電話交換手による集団自決事件を主軸に描いた36年前の映画でした。しかも驚くべきことに、本作が本格的に劇場公開さ...

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「キングダム・見えざる敵」2007

私のように超ドメスティックな日常を過ごし、目の前の諸事ばかりに没頭していると、世界の現実に我が身を重ねることを忘れがちです。例えばサウジアラビアに生きる人々の現実を想像するなど思いもよりません。私も平和ボケした日本人のひとりと反省します。...

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「SPACE BATTLESHIP ヤマト」2010

「宇宙戦艦ヤマト」のファースト放映をリアルタイムで視聴したのは中学の時。毎週のTV放映の吸引力は当時強烈な記憶として残っています。「ヤマト」が再放映からブレイクして徳間書店の「アニメージュ」創刊を産み、今日のアニメ・サブカル文化の礎を形成するのはそこから数年以上の時間が必要でした。つまり思春期の男子にとって、当時リアルタイムのブラウン管に映る画しか存在しなかったです(家庭用ビデオ普及はもう少し後の話...

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